カテゴリ「イギリス探訪記 2011」の記事一覧

はじめに

South London & Maudsley NHS Foundation Trust (SLaM) はモーズレー病院とベスレム病院という、長い歴史のある精神科病院をもとに、NHSの変遷とともに再編成された組織である。ロンドン南西部の4つの区(ランベス、サザック、ルイシャム、クロイドン)の精神保健ならびに薬物依存医療、および隣接するベクスリ−、グレニッジ、ブロムリーの薬物依存医療を担当している。モーズレー病院、ベスレム病院は共に世界最古の精神病院の一つであり、その歴史は1247年に溯る。モーズレー病院に隣接して、精神科領域の研究では世界でトップクラスの精神保健研究所があるため、世界各国から臨床家や研究者が集まってきて、先駆的な基礎・臨床研究が盛んである。
日本では、アスペルガー症候群を世界に紹介した、自閉症スペクトラム概念の創始者であるローナ・ウイングが所属していたことで有名であろう。児童青年期精神医学分野における教育プログラムとしては世界最高峰と言われるロンドン大学児童青年精神医学専門研修プログラムの中で臨床研修施設として機能しており、臨床研究のみならず教育機関としてのレベルも高い。
地域精神医療学講座では児童思春期分野の医療体制構築を主要な目標の一つに掲げている。今回私は、世界最高峰と言われる臨床機能を調査するために2週間のプログラムで視察を行った。

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